本日(2018年4月4日)にAdobe社からLightroom(アドビ・ライトルーム)の大幅アップデートがリリースされました。現像機能が大きく進化し、大きなところとしては、(プリセットではなく)「プロファイル」機能に関するアップデートで、新しい時代の幕開けを感じるほど、劇的に変化しています。この記事でなるべく包括的に変化点を解説していきたいと思いますが、混同しやすいので、お読みの際は「プリセット(現像プリセット)」と「プロファイル」という単語の違いを意識するようにしてくださいね。(二者は全くの別物ですので。)
また、今回の記事はLightroom Classic CCを例に解説していきます。クラウドベースのLightroom CCにも一部該当する変化点がありますが、基本的に、Lightroom Classic CCのアップデートに関する記事だとご理解くださいね。
お使いのライトルームがどちらかわからない方は、ライトルーム起動時に表示されるスプラッシュスクリーンをご確認ください。
今回のアップデートは主に以下のとおりです。全て、現像機能に関するものです。
- 「かすみの除去」が「基本補正パネル」内に移動した
- 現像プリセットのプレビューが(ナビゲーターパネルのみならず)、画像表示領域の大きな画像でも確認できるようになった
- 「基本補正パネル」内に新規に「プロファイルブラウザー」が装備された
(今回の最大変化点)プロファイルブラウザーには以下が含まれています。
3-1. 七つのAdobe Rawプロファイル(現像プロファイル)
3-2. カメラマッチングプロファイル(カメラによってその数と各プロファイルの名称が異なります。)
3-3. CreativeプロファイルCreativeプロファイルは更に以下のとおり細分化されています:
・アーティスティック
・白黒
・モダン
・ビンテージなお、Creativeプロファイルでは「適用量」を変更することができます。
まずは、アップデートの方法から
アドビのアプリケーションが全て閉じている状態で、Creative Cloudデスクトップアプリを開き、「Apps」のタブをクリックします。
Lightroom Classic CCの右に「アップデート」ボタンがありますのでそちらをクリックするだけでOKです。
PhotoshopやCamera Rawにも「アップデート」と出ていたら、同時にそれらのアップデートボタンも押して、最新のバージョンに更新しておきましょう。
その後、Lightroom Classic CCを起動すると以下のような画面が表示され、アップデートができていることがわかります。
「OK」や「了解しました」をクリックすれば、アップデート済みのLightroomの画面が表示されます。
それでは、アップデートの内容をひとつひとつ、解説していきますね。
1. 「かすみの除去」が「基本補正パネル」内に移動
これまでは、「効果パネル」の中にあった「かすみの除去」という項目が「基本補正パネル」内に移動しました。その名のとおり、かすみを除去してくれる機能ですが、その結果、色が濃くなったりするので、「本来あるべき場所に移動した」ということですね。
2. 現像プリセットのプレビューが、画像表示領域の大きな画像でも確認できるようになった
現像モジュールの左パネル内に「プリセットパネル」がありますが、これまでは、マウスオーバーすると「ナビゲーターパネルの画像にそのプリセットが適用されたプレビューが表示されていました。
今回のアップデートでは、マウスオーバーにより、画面中央の「画像表示領域」の画像にもプレビューが適用されるようになり、プリセットの効果が確認しやすくなりました。
次は、今回のアップデートのメインとなる、「プロファイル(現像プロファイル)」についてです。
3. 「基本補正パネル」内に「プロファイルブラウザー」が装備された
まずは、「プロファイル」に関して少し触れておきましょう。「プロファイル」はこれまで、「カメラキャリブレーション」というパネルの中に含まれており、デフォルト(初期設定)の「Adobe Standard」や、それ以外に「Camera Faithful」、「Camera Landscape」、「Camera Portrait」などがありました。「Adobe Standard」はアドビ社が独自に開発した「オリジナル」で、どのカメラで撮影されたRAW画像でも同じように表示されることを目的としたプリセットでした。それ以外のプロファイルは、キヤノンの「ピクチャースタイル」、ニコンの「ピクチャーコントロール」、ソニーの「クリエイティブスタイル」等をそれぞれ模して作られたもので、撮影したカメラによって表示される項目名とその効果が異なっていました。
今回のアップデートでは、まず、プロファイルの場所が移動し、以下のとおり、「カメラキャリブレーションパネル」内から、プロファイルが消えました。
プロファイルブラウザー
「基本補正パネル」内の「プロファイルブラウザー」というものが新たに設置され、以下のマークをクリックすると展開して、様々なプロファイルが表示されます。
上述のプリセット・プレビューと同様、プロファイルも、マウスオーバーするだけで、画面中央の大きな画像で、その効果をプレビューすることができます。
プロファイルには以下のものがあります。
3-1. 七つのAdobe Rawプロファイル(現像プロファイル)
まず、これまでのデフォルトだった「Adobe Standard」は今回のアップデートで、「Adobe カラー」というものによって置き換えられました。これまでは、RAW画像をライトルームに読み込むと、「Adobe Standard」が適用され、その結果、色が淡くなったり、コントラストが甘くなったりしていましたが、「Adobe カラー」ではそのあたりを、大きく是正している印象です。
「Adobe カラー」に加えて、アドビ社独自の他のプロファイルも追加になりました。
・Adobe ニュートラル
・Adobe ビビッド
・Adobe 人物
・Adobe 標準
・Adobe 風景
・Adobe モノクロ
アップデート前の「Camera Faithful」、「Camera Landscape」、「Camera Portrait」などは、正直、カメラメーカーのオリジナル・プロファイルとかなり効果が異なっており、あまりメリットを感じませんでしたが、上述の新規プロファイルは、それぞれがしっかり作り込んであり、今後、とても役に立ちそうな印象です。
3-2. カメラマッチングプロファイル
上述の「Camera Faithful」、「Camera Landscape」、「Camera Portrait」など、カメラメーカーのプロファイルを模したものは、カメラマッチングプロファイルと名前を変えて、残っていますが、内容的に変化はない模様です。
3-3. Creativeプロファイル
こちらは、上記「3-1」のAdobe Rawプロファイルと同様、新しいもので、その名のとおり、とてもクリエイティブな効果のプロファイルとなっています。
- アーティスティック(8プロファイル)
- 白黒(17プロファイル)
- モダン(10プロファイル)
- ビンテージ (10プロファイル)
なお、Creativeプロファイルでは「適用量」を変更することができますので、Photoshopの調整レイヤーで「不透明度」を変更するのと同じように、効果の適用量を増減することが可能となっています。気に入ったプロファイルが見つかっても、その効果が少し「派手すぎる」と感じた時などには「適用量」を若干低めにするだけで、望みどおりの結果が得られます。とても便利ですね。
「3-1」~「3-3」以外に、ユーザーが以前、自分でプリセットを作成していた場合は、それもきちんと継承されます。
ここで一度立ち止まり、「プロファイル」と「プリセット」の大きな違いについて触れておきたいと思います。
「プリセット」と「プロファイル」の違い
現像モジュールの左パネルに「プリセットパネル」がありますね。ライトルームに標準装備されている「プリセット」もあれば、サードパーティーが出している「プリセット」をダウンロードして使うこともできるのですが、「プリセット」の特徴として、「基本補正パネル」などで行った調整内容を上書きしてしまうという点が挙げられます。
これに対して「プロファイル」では、例えば、「基本補正パネル」でハイライト、シャドウ、白レベルや黒レベルなどを事前に調整している場合、それらが上書きされることがありません。明るさなどを前以て調整しておいて、その上に、「プロファイル」の効果を重ねることができますので、意図したとおりの結果を作り出すことが可能なのです。
カスタムプロファイル
今回のアップデートに関するアメリカ国内の記事を読んでみると、Photoshopの「カラールックアップ」という調整レイヤーを使って独自のプロファイルを作成することが可能になる、と書かれていました。現時点でその方法は明確になっていないようですが、「カラールックアップ」調整レイヤーの内容と、その「ブレンドモード」をプロファイルに登録できるらしく、近々、独自のクリエイティブなプロファイルを作り、それを他のユーザーとシェアしたりできるようになる、とのことです。
2018年5月17日に以下の記事を追加しました。
2018年5月4日に以下の記事を追加しました。
2018年5月2日に以下の記事を追加しました。「カスタムメイド」なクリエイティブプロファイルを10個、無料でご提供していますので、是非ご利用ください。
2018年4月6日に続編の記事を追加しました。
2018年10月16日に最新版アップデートがありました。
今回のアップデートは、RAW現像の可能性を大きく広げる、画期的なものだと思います。新しい情報が入ってきたらまたこのサイトに記事をアップしますのでご期待くださいね。
フォトグラファー
マサ・オニカタ