ちょっと期待外れのライトルーム2018年10月アップデート

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2018年10月15日(日本時間10月16日)に、Lightroom Classic CCのアップデートがリリースされました。

この時期、アドビ社の年間最大イベント、「Adobe Max」が開催され、それに伴い、かなり大規模なアップデートや新しい商品が発表されたりするのですが、少なくともLightroom Classic CCに関しては、意外と小規模なアップデートに終わりました。

去年はLightroomが二つに分岐し、これまでのLightroomはLightroom Classic CCとなり、そして、新規にクラウドベースの新しいバージョンが発表されました。

2017年10月アップデートに関してはこちらの記事をお読みください。

 
さて、今回のアップデートの内容は主に以下のとおりです:

  1. HDR-パノラマ結合
  2. 奥行き範囲マスク
  3. 現像の処理バージョン更新
  4. 新発売のカメラに対応

今回は速報記事ということで、文字ばかりの内容となってしまいますが、ご容赦ください。

それでは、解説していきます。

 

1. HDR-パノラマ結合

 
アドビ社のサイトを見ると、「シングルステップ HDR パノラマ結合」と書かれています。英語版の「Single-step HDR Panorama merge」をそのまま訳しただけなので、ちょっとわかりにくいですね。

これまでのLightroom Classic CC(以下「Lightroom」)にも、HDR結合とパノラマ結合は存在していましたが、今回のアップデートでは、HDR結合とパノラマ結合を「同時に行えるようになった」という内容です。「HDR」とは、「High Dynamic Range」の略で、例えば、逆光の被写体を「露出ブラケティング」して、3つの異なった露出で撮影し、それらを合成して「いいとこ取り」する、というものですね。

通常のHDR合成
 
そして、パノラマ結合は少しカメラの角度を横方向にずらしながら複数カット撮影し、それをマージして横に長いパノラマ写真を作成する、というもの。
(図をわかり易くするため、3枚の写真の水平方向の位置を敢えて少しずらして表示しています。)

通常のパノラマ合成
 
今回は、「パノラマ用の各カットをそれぞれ3枚の異なった露出で撮影しておき、それを横方向に繋げて簡単にパノラマ写真にできますよ」という機能です。

シングルステップ-HDR-パノラマ結合
 
この時、各写真の色みが異なっていても、きれいに合成してくれる、ということらしいのですが、まだ試せていないので、今後じっくり評価してみたいと思います。

私は風景写真家なので、これが、完成度の高い機能なら、とてもありがたいのですが、同時に9枚や12枚、更には15枚などの写真を使って合成するとなると、それなりのマシンパワーが必要になってきますので、一般のユーザーの方には少々レアな使い方と言っても良いですね。
 

2. 奥行き範囲マスク

 
これは、「範囲マスク」と呼ばれる機能の一種です。これまでは「輝度マスク」と「カラーマスク」というものが存在していましたが、「奥行きマスク」は、3つめの範囲マスクということですね。円形フィルターや補正ブラシで部分補正をかける際、明るさや色を基準に自動的に、マスクの範囲を変更できる、というものなのですが、今回は、被写界深度に応じたマスク、ということです。

奥行きマスク
 
この機能自体はとても便利なのですが、残念なのは、iPhone 7+、8+ および X、XS、XS MAXのカメラアプリで、ポートレートモードを使用して撮影したHEIC(High Efficiency Image File Format)画像にしか使えない、という点です。主に一眼カメラでRAW写真を撮影し現像する、という、一般的なライトルーム・ユーザーにはあまり関係のない機能、ということですね。
 

3. 現像の処理バージョン更新

 
これまで「バージョン 4」だった、ライトルームの現像処理バージョンが「バージョン 5」になりました。ただ、これも内容的にはそれほど画期的なものではなく、高感度撮影時に写真の一部に紫色が載ってしまう、といった症状を改善する、という程度のようです。ISO6400や12800などで撮影したり、ISO1600や3200で撮った後、暗部を極端に明るくすると出てしまうパープル系の色を抑えてくれる、ということですが、これも今後検証していきたいと思います。

 

4. 新発売のカメラに対応

 
ここ一か月ほどで発表になった話題のカメラ・モデルのRAW画像に対応しました。

  • Canon EOS R
  • Fujifilm X-T3
  • Nikon COOLPIX P1000
  • Nikon Z7
  • Panasonic LUMIX DC-LX100 II

EOS Rなどはまだ発売されていませんし、Lumix LX100 IIも今日(2018年10月18日)発売のモデルです。通常は、モデルが発売されてから数週間経ってから対応していたのですが、今回は驚くほど早かったですね。
(さすがに11月下旬発売予定のNIKON Z6はまだ対応していないようですが。)
 
 
以上が主なアップデート内容なのですが、他にも、CANONのカメラでテザー撮影がとても速くなっていたり、macOS High Sierra v10.13 以降のHEVCビデオ方式(H.265 = High Efficiency Video Coding)にも対応するようになったり、というアップデート項目もあるようです。

思いのほかニッチな機能ばかりで、ちょっと拍子抜けした感じの2018年10月アップデートでしたが、恐らく、来年4月頃になるであろう、次回メジャーアップデートに期待したいと思います。


2019年1月15日追記

2018年12月アップデートに関する記事はこちらをお読みください。
現像モジュールで、各パネルの表示順を変更できるようになりました。


 
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