ヒストグラムに関するシリーズ記事第3弾です。
今回の記事からは「中級編」。と言っても、今回の内容は「中級編の入り口」程度だとご理解ください。
これまでは、基礎編①で「ヒストグラムとは何か」という内容をカバーし、基礎編②では、「ヒストグラムの見方」について解説しました。
基礎編の記事をまだお読みでない方はこちらをご覧ください。
今回の記事では、カメラの「ヒストグラムをどう活用するか」という点に関して解説していきたいと思います。
ほとんどのデジタル一眼カメラで、ライブビューモニターにヒストグラムを表示することができます。EVF(エレクトロニック・ビューファインダー)付きのカメラの場合、EVF内にヒストグラムを表示することも可能です。(全ての機種をチェックしたわけではないですが。)撮影した写真を再生する際に、ヒストグラムを表示することはもちろん、機種によっては、撮影時にヒストグラムを表示した状態のまま、シャッターを切ることが可能なものもあります。(つまり、ライブでヒストグラムを表示させ、左右の縦軸の内側にグラフが収まるよう、露出設定を変更してからシャッターを切ることができる、ということですね。)
ここで、素朴な疑問を持たれた方も多いと思います。「ヒストグラムって常に表示しておくものなの?」と。答えはもちろん「ノー」です。常にヒストグラムが表示されている状態だと、しっかりと構図などを確認することができませんので。では、どういう状況の時にカメラのヒストグラムを使うべきなのでしょうか。
それは、(当たり前すぎて恐縮ですが)、露出に関して自信が持てない時、です。
例えば、日中の屋外撮影時。日なたと日蔭の明るさの差が大きく、日なたの部分が白とびしたり、日陰の部分が黒つぶれしやすくなったります。また、周りが明るすぎて、ライブビューモニターの画像を確認するだけでは、「正しい露出で撮影できているか」を判断できなかったりします。(EVF搭載のカメラの場合は、ファインダーに目を密着させることで外部の光を遮断できるため、周囲の明るさによる影響はないのですが。)
カメラによっては、白とびや黒つぶれしている部分を点滅表示して警告してくれるものもありますが、ヒストグラムを表示すると、画像の明るさ分布が確認できるため、瞬時に的確な露出補正の判断ができます。
以下の例では、ヒストグラムの右側(明るい情報の部分)に余裕があるため、露出を少し上げて撮影するべき、という判断が可能になります。
逆に以下のようなヒストグラムになっている場合、露出を上げると白とびしてしまいますので、素早く「多少の黒つぶれはやむなし」という判断をし、そのままシャッターを切ることができます。
日中の撮影時以外にもヒストグラムに頼るべきケースがあります。
例えば以下のように、沈みゆく夕日をフレームに入れて撮影する場合など。
太陽やその周辺は白とびしやすくなりますし、手前のビル群は黒つぶれしがちですね。
ビルの壁面の明るさをある程度維持し、同時に夕日の白とびを可能な限り抑えて記録するためには、以下のようなヒストグラムになるよう露出を調整してシャッターを切れば良いのです。
夜景の撮影時にもヒストグラムが役に立ちます。
夜景の写真をライブビューモニターで確認しながら撮影すると、イメージよりも暗く記録されていることがあります。これは、周囲が暗いため、ライブビューモニターが日中よりも感覚的に明るく見えてしまうためです。この場合も、ヒストグラムを表示し、露出が低くなり過ぎていないことを確認しながらシャッターを切ると、失敗を防ぐことができます。
ヒストグラムが左の軸にべったり付いていないことを確認してシャッターを切ると、以下のように、適切な露出の写真を撮影することができます。
このように、シーンによって適宜ヒストグラムを表示し、確認しながら撮影する習慣をつけると、確実に打率が上がりますので、是非試してみてくださいね。
今回の記事はここまでです。
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