写真教室をやっていると生徒さんから良く「三脚はどうやって選べばいいの?」という質問を受けます。
そしてその都度、まずは「自分が持ち歩ける範囲内で最も重いもの!」とお伝えしています。三脚を使う目的は、撮影時にカメラをしっかり固定することであり、その目的を実現するには重い三脚が必要だからです。もちろん、重すぎると持ち歩かなくなる、ということにもなりますので闇雲に重いものを選ぶのは避けるべきです。また、他にも選ぶ際のポイントがあるのですが、選ぶ過程でこの「カメラを固定する」という目的を見失わないようにしたいものです。
さて、今回の記事では具体的な三脚選びの方法を解説していきますが、特に各チェック項目に優先順位を付け、正しい順番で三脚を絞り込む、という方法をご紹介しますね。
具体的には:
① 三脚の高さ
② 脚の太さ
③ 雲台の種類と脚の継ぎ目
④ 脚の段数
になります。
この順番で三脚を絞り込んでいき、最後にカメラを取り付けて実際の揺れを確認し、最終的に購入する三脚を決定する、という手順になります。
各項目の説明をする前に一つ、鉄則があります。
三脚選びは必ずお店に行っておこない、その際には自分の持っている最も長いレンズと
カメラを持っていく、ということです。
基本仕様や価格を調べることはインターネットでできますが、最終的には必ずお店に行き、色々な三脚に触れて品定めを行ってください。
それでは、解説を始めます。
まずは①の三脚の高さです。
よく、「アイレベル」つまり、自分の目の高さにビューファインダーが来るのが大事、と言われています。人間は歩いて(つまり立った姿勢の目の高さから物を見て)被写体を探すことが圧倒的に多いものですが、良い被写体が見つかっても、三脚の高さが足りないと、構図が変わり、結局良い写真が撮れなかったりするのです。ただ、実はこれには大きな落とし穴があります。それは、「カメラを縦位置にした時にファインダーの位置が低くなる」ということ。そして、横位置でアイレベルの三脚を選んでしまうと、縦構図の撮影時にかがむ羽目になり、長時間撮影を続けると疲労度も増します。
お店に出向いて売り場の三脚にカメラを取り付け、縦位置で高さを確認しましょう。
②次は三脚の脚径、つまり足の太さです。
冒頭に触れたように、カメラをしっかりと固定するのが三脚を使う目的ですので、脚は太いほど良い、ということになります。しかしながら、過度に太いものを選ぶと重くなり、持ち歩けなくなってしまうので、適切な太さを選ぶ必要があります。以下にその目安を示します。
一番上の脚の直径と、三脚の一般名称、そしてレンズの種類になります。
脚径20-25mm程度 | 小型三脚 | 135mmぐらいまでOK |
脚径26-33mm程度 | 中型三脚 | 300mm-F2.8ぐらいまでOK |
脚径34-42mm程度 | 大型三脚 | それ以上 |
お使いのレンズで最も大きいものを基準に脚の太さを決めましょう。
③次は雲台の種類と足の継ぎ目に関してです。
ワンセットで考えていただくのが良いのですが、まずは雲台から説明します。
ご存知のとおり雲台には主に2種類あって、それぞれの特徴は以下のとおりとなります。
3-way雲台 | 自由雲台 | |
---|---|---|
軽さ | △ | ○ |
サイズ | △ | ○ |
正確な構図取り | ○ | △ |
素早い構図取り | △ | ○ |
パノラマ撮影 | ○ | △ |
風景写真 | ○ | △ |
マクロ撮影 | ○ | ○ |
花火 | △ | ○ |
動きのある被写体 | △ | ○ |
3-way雲台は比較的重くて大きのですが、正確な構図取りができるため、「じっくりと撮影する風景写真や花などのマクロ写真」に適しています。一方で自由雲台は軽めで小さく、また、素早く構図取りができるため、花火や、望遠で動いている被写体を撮るのに向いています。マクロ撮影でも、動く被写体(例:昆虫など)の場合は自由雲台の方が良いでしょう。
撮りたい被写体が決まっていると自ずと雲台の種類も決まってくるということですね。
主にレバー式とナット式に分かれるのですが、特徴としては、レバー式は脚の出し入れが比較的早く行えます。つまり、小刻みに移動して撮影するのに適しています。一方でナット式は、脚が多少摩耗している場合などでも、強く締めることでしっかり固定ができる、というメリットがあります。もちろん、一つずつ、しっかりと締める必要があるため、脚の出し入れには少しだけ長く時間がかかります。じっくりと撮影する風景写真や花のマクロ撮影にはナット式が向いていて、頻繁な脚の出し入れを要する、動き物の撮影にはレバー式が良い、ということです。
④ 最後は段数に関して
「段数」というのは、1本の脚に幾つ継ぎ目があるか、ということで、継ぎ目が2つの場合は3段、3つの場合は4段となります。冒頭に説明したとおり、三脚を使う目的は「カメラをしっかりと固定する」ということです。この観点から考えると、脚の段数は少ない方が良い、ということになります。一方で、段数の少ない三脚はそれだけ収納時のサイズが大きくなります。そして、あまり大きな三脚はやはり持ち歩かなくなってしまうものですので、移動時に問題にならないサイズのものを選びましょう。
ここまでで、売り場に並べられている数多くの三脚から、だいぶ絞り込めたのではないでしょうか?
最後に実際の揺れを確認します。
自分のカメラに望遠レンズを装着し、三脚に取り付けてみましょう。カメラをライブビュー撮影モードにし手ぶれ補正はオフにします。そして、レンズは望遠端にして、レンズの先を指で軽く叩きます。ライブビュー内に写っている被写体がどれだけ揺れるかを確認して、最も揺れが少ない三脚を購入するようにしましょう。
いかがでしたか? 意外と奥が深い三脚選び。自分に最も合った三脚を見つけ出す為にじっくりと慎重に選んでくださいね。ちょっと余談ですが、お店に行って三脚を選ぶ際は曜日や時間帯にも工夫しましょう。店員さんがきちんと接客してくれる時間帯が理想的で、例えば量販店であれば、お客さんの少ない平日で、しかも午後2時から3時頃が良いでしょう。
今回の説明は以上となります。
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マサ・オニカタ