構図上達のための行動術

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今回は、構図がうまくなるためには、どんな行動をとるべきか、という記事を書きたいと思います。「行動術」というとちょっと大袈裟かもしれませんが、日ごろ、写真の撮影や選別作業を行う際に、「こんな行動をとると上達が早くなる」という話です。「良い構図」、「悪い構図」という学問的な内容ではなく、どちらかというと「心構え」的な事のみに特化して書かせてもらいますね。

具体的には以下の内容になります。

  1. 撮影位置の決め方
  2. 縦か横か
  3. 撮影画像の確認方法
  4. 写真選別のプロセス



 

それでは始めます。

  1. 撮影位置の決め方
     
    写真撮影を行う際、どのくらいの距離から、どの角度で被写体を狙うか、とても重要ですよね。自分が少し動くだけで、構図は結構変わるものです。ところが、頭では理解していても、実際の撮影現場に着くと、意外と軽い気持ちでカメラを構え、シャッターを切っていませんか?

    カメラマン
     
    被写体が近景~中景にある場合、撮影位置を前後左右に一歩分変えるだけで構図も変わります。また、かがんだり、背伸びしたりしても大分変化します。常に体勢を変えたり、小刻みに移動したりして、ベストな構図を探す必要があるのです。また、風景写真などで、三脚を使用して撮影する際は、「三脚を置く位置を決めるのに3分間悩む」を実行してみてください。これまで、安易に位置決めをし、三脚を開いて撮影していた方も多いと思います。ただ、よく言われるのが、「一番初めに三脚を立てた位置は、必ず、間違った位置である」ということ。つまり、「ここよりも良い位置が絶対にある」と信じて3分間移動し続けるのです。3分動いても良い場所がなかった場合は、そこに戻って撮影すればよいだけのことですので。

  2.  

  3. 縦か横か
     
    自分で撮影した写真を見直し、縦写真と横写真の割合を調べてみてください。ポートレート専門の方以外は、恐らく「横写真が圧倒的に多い」という状態だと思います。また、どういう被写体が縦構図に適しているのか、と悩んでいる方も多いと思います。ところが、それに対する明確な答えは実は存在しません。一見、横の構図が適しているように見える被写体でも、自分の位置や姿勢を変えたり、ズームレンズで焦点距離を変えてみたりすると、意外にも縦構図がしっくりくることも多々あるのです。

    縦-横-比較-1
     
    縦-横-比較-2

    (全ての写真は許可をいただいて撮影しています)

     
    と言っても、最初は縦横どちらがいいのかわからないでしょうから、「両方撮る」ことをお勧めします。そして、カメラを横に構えた時は、「横構図の方が良いに違いない」と信じて、小刻みに位置や姿勢を変えて、工夫しながら撮り、縦に構えた際は頭を切り替え、「縦構図の方が良いに違いない」と信じて、縦でしっくりくる構図を探るのです。これを習慣的に行うと、間違いなく構図の腕が上がります。




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  5. 撮影画像の確認方法
     
    デジタルカメラは、シャッターを切った直後に画像をライブビュー・モニターで確認できるのでとても便利ですが、「現場では上手く撮れたと思った写真を、帰宅後、パソコンの画面で表示してみてがっかりした」ということは誰にでもある経験だと思います。3インチ前後のモニターでは見えなかったものが10インチ以上の画面でははっきりと見える、というわけです。画面の片隅に人や看板が写り込んでいたり、水平線が傾いていたり、被写体が中途半端な位置で切れていたり、と、色々ありますね。こういったミスは、帰宅後に気付いても「時すでに遅し」です。逆に、現場で気付くことができさえすれば、タイミングやアングル、焦点距離などを変更してもう一度シャッターを切ることができ、その結果、良い写真が撮れる確率も格段に上がります。では、どうやったら現場で確実にミスが発見できるようになるのでしょうか。実は、答えはとてもシンプルです。「今撮った写真にはどこかにミスが存在する」と疑って画像を確認する、それだけで良いのです。「疑いの目で見ると、色んなものに気付くようになる」、写真以外にも言えることですね(笑)。

    下の例では、最初に撮った写真を疑いの目で確認。その結果、「広角すぎて、本来垂直であるべき縦の線が傾いてしまっている」という事に気付きました。また、陽が当たっている部分が明るすぎるよう感じたため、本堂の反対側に回り込み、28mmだった焦点距離を53mmに変更して2枚目を撮りました。画像確認の際は「粗探しをする」、是非、徹底してみてくださいね。

  6. 粗探し
     

  7. 写真選別のプロセス
     
    フィルム写真の場合は、一枚現像する毎にコストがかるため、「ベストな瞬間を待ち構えてシャッターを切る」、という撮影スタイルになってしまいがちですが、デジタルの場合は何枚撮ってもコストは変わりません。ですので、臆することなくシャッターを切れば良いわけですし、そうすることでベストショットが生まれる確率も必然的に上がります。そして、大切なのは数多い写真をしっかりと見比べて選別することです。「写真A」と「写真B」はどちらが良いだろう? その理由は? などと、考えてみるのです。

    写真の構図を学ぶため、書籍などを購入して読んだ経験がある方は多いと思います。ですが、自分で訪れたことの無い撮影地の写真ばかり掲載されていると、いま一つ実感がわかず、ピンとこなかったりするものです。

    一方、自分で撮影した写真を見比べ、どの構図がベストなのか、自分なりに考えるようになると、「あの時、もっと○○して撮っておけば更に良い写真になっていたはずだ」などといった気付きが生まれ、意識が高く持てるようになります。そして、その高い意識とともに次の撮影に挑むと、より良い写真が撮れるようになる。つまり、ポジティブスパイラルが回り始めるわけです。

    ただ、膨大な数の写真を見比べる、というのは億劫な作業ですよね。そこで、お勧めはやはり、アドビ・ライトルーム(Adobe Lightroom)のような写真管理ソフトを活用することです。私自身、ライトルームを使っていますが、以前と比較して、写真選別の効率が、少なくとも3倍は改善したと感じています。写真を比較するための便利な機能が豊富に備わっていて、作業を負担に感じなくなるのです。


    ライトルームの写真管理とそのメリットに関しては以下の記事で詳しく解説していますので、是非ご一読ください。

     
    ライトルームで写真の選別を行う際の「コツ」に関しては以下の記事をご覧ください。
    (2018年1月13日にこの記事を追加しました。)


 

いかがでしたか? いつまでたっても構図が上手くならない、とお悩みの方は、是非今回の内容を実践してみてくださいね。
 
マサ・オニカタ