サイトアイコン ミヤビプロダクション

「アンダー気味に撮る」という「勘違い」~ヒストグラムを学ぼう- 中級編②

アンダー気味に撮るという勘違い-Featured


 
今回の記事は、「ヒストグラムを学ぼう」の初級編①、②、そして中級編①に続く第4弾となります。

過去の記事にご興味のある方は、以下をお読みください。

今回は、多くの方にとって「その存在は知っていて、何となく理解しているつもり」という位置づけの「ヒストグラム」に関して説明していきたいと思います。カメラのライブビューで撮影時や、撮影後に表示することができる、上記のようなグラフのことですね。今回はこのヒストグラムに関する、基礎的内容を解説します。 目次 ヒストグラムの定義 ヒストグラムのX軸 ヒストグラムのY軸 写真をヒストグラムに変換 2018年5月30日にヒストグラムに関するシリーズ記事の第2弾をアップしましたのでこちらもお読みください。2018年5月...
ヒストグラムを学ぼう- 基礎編① - ミヤビプロダクション
ヒストグラムに関するシリーズ記事第2弾です。前回は基本中の基本である。「ヒストグラムとは何か」について説明しました。ヒストグラムは写真の中の「明るさの分布」である、という話でした。前回の記事をまだお読みでない方は、まずこちらをご覧ください。 2018年5月31日にこちらの記事も追加しましたので併せてお読みください。 さて、今回の記事では、「ヒストグラムの見方」をしっかりと理解し、「正しい露出(明るさ)で写真を撮影しましょう」という話をしていきます。 まずは、ヒストグラムの見方に関して。ヒ...
ヒストグラムを学ぼう- 基礎編② - ミヤビプロダクション
ヒストグラムに関するシリーズ記事第3弾です。今回の記事からは「中級編」。と言っても、今回の内容は「中級編の入り口」程度だとご理解ください。これまでは、基礎編①で「ヒストグラムとは何か」という内容をカバーし、基礎編②では、「ヒストグラムの見方」について解説しました。基礎編の記事をまだお読みでない方はこちらをご覧ください。今回の記事では、カメラの「ヒストグラムをどう活用するか」という点に関して解説していきたいと思います。ほとんどのデジタル一眼カメラで、ライブビューモニターにヒストグラムを表示するこ...
ヒストグラムを学ぼう- 中級編① - ミヤビプロダクション

 
撮影レッスンで生徒さんに写真の撮り方をお教えする際、「普段、アンダー気味に撮るようにしています」という声をよく耳にします。露出に意識を払いながら撮影するのはとても良いことなのですが、今回の記事では、RAW現像を前提とした撮影では、「アンダー気味に撮るべきではないケース」と「アンダー気味に撮るべきケース」が存在する、ということを、ヒストグラムを見ながら説明していきたいと思います。

まずは「アンダー気味に撮るべきではないケース」から説明しますね。

以下の写真は、みなとみらいの夕暮れを大黒ふ頭から撮影したものなのですが、日没の瞬間で、空の光が柔らかになり、「白とび」や「黒つぶれ」をさせずに撮影できる明るさでした。

2枚とも絞りが「f/11」、ISO感度が「100」ですが、①(左の写真)はシャッター速度が「1/50 秒」、そして、②(右側の写真)は「1/100 秒」で撮影しています。その結果、写真②の方が「アンダー気味」になっていますね。


 
また、この時のPhotoshopのヒストグラムはそれぞれ以下のとおりとなります。
(Lightroomのヒストグラムではカラー6色とグレーのヒストグラムが同時に表示されますが、以下は、その中の「グレー」の部分と同じだと理解してください。)


 
ご覧になっておわかりのとおり、両者のグラフは、右と左の縦軸の内側に収まっているため、「白とび」も「黒つぶれ」もしていないことを表しています。

こういうヒストグラムの場合、「アンダー気味」に撮ることは実は正しくありません。もちろん。RAW現像を行わず、「撮って出し」の状態で写真をそのまま使うのであれば、①でも②でも、ご自分の作風や意図にそぐった露出で撮ればよいのですが、RAW現像を行い、写真を更に美しく仕上げるという意図がある場合は、①のように、「少し明るめに」撮影するべきです。「明るめ」といっても、「ヒストグラムが右の縦軸に触れない程度」にしておく必要はありますので、その点は注意してくださいね。

それでは、なぜ①の方が良いのでしょうか。

理由は:

A: 記録される情報の量
と、
B: 現像処理を行った後のノイズ量

です。
 
まず、「A」の「記録される情報の量」に関してですが、これは単純に2枚の写真のファイルサイズを比較すればわかります。


 
2枚の解像度は同じですので、このファイルサイズの違いは、記録されている情報の量の違い、ということになります。
 
「B」の「現像処理を行った後のノイズ量」に関しては、以下の「現像済み写真」2枚をご覧ください。(基本補正パネルで「露光量」、「ハイライト」、「シャドウ」、「黒レベル」のみを変更し、2枚の写真の見え方が同じになるように調整しています。)


 
一見同じように見える2枚の写真ですが、拡大してみると以下のように、ノイズの量に大きな差がある事がわかります。(写真をクリックすると拡大表示なります。)


 
②の「アンダー気味」に撮影した写真では、現像の際に、暗部を大きく持ち上げ、明るくする必要がありました。そして、暗い部分を明るく変更すると、このようにノイズの量が顕著に増えてしまうのです。

「白とび」も「黒つぶれ」もしない範囲内で、露出を少し変える自由度があるケースでは、「アンダー気味」ではなく、「少し明るめ」に撮るべき、ということがお分りいただけたと思います。このように、ヒストグラムが少し右に寄るように撮影する方法を、英語でETTR (Expose To The Right)と言います。「右寄りに露光する」という意味ですね。

 
 
次の例は、逆に、「アンダー気味に撮るべきケース」です。

以下の写真では、厳しい逆光で、手前の鳥居と、背景の空の明暗差があまりにも激しいため、「明部」か「暗部」のどちらかを犠牲にして撮影する必要がありました。


 
2枚とも絞りは「f/8」、ISO感度は「100」ですが、①はシャッター速度が「1/500秒」、②は「1/60秒」です。

この時のヒストグラムはそれぞれ、以下のとおりです。


 
写真①は鳥居の一部が黒つぶれしており、写真②は空の一部が白とびをおこしていますよね。

RAW現像でそれぞれ、明るさを補正し、両者の見え方を同じにしようとしても、以下のように、②の白とびした部分は白く「べた塗り」されたように残ってしまい、雲の繊細な模様やグラデーション(階調)などは戻ってきません。


 
写真②のように、明るく飛んでいる部分というのは、とても目立ち、写真の完成度を大きく損ねる結果になってしまいますので、「明部」、「暗部」のどちらかを犠牲にしなくてはならない厳しい光の条件の場合は、アンダー気味に撮影するのが良いわけです。写真①は、暗部を持ち上げているので、その分、ノイズが載りますが、白とびの写真②と比較して、ダメージは遥かに少ない結果となっていますね。

ということで、以上をまとめると、こんな感じになります。


 
以上が、RAW現像を想定した露出の決め方です。フィルム撮影や、「撮って出し」用のJPEG撮影と比較すると、「RAW現像前提」の撮影では、このように、撮り方が変わってきますので、しっかり理解して、正しい撮影方法を、常に心掛けてくださいね。
 
 
デジタル時代の写真撮影術や、アドビ・ライトルームを使用した現像方法をしっかり学習したいとお考えの方は、是非一度、マサ・オニカタのライトルーム使い方講座をご受講ください。

主に以下の内容をお教えしています。

  • ライトルームのカタログとは何か
  • 効率的な写真の選別方法及び写真管理術
  • 写真の現像方法
  • 写真の書き出し設定
  • ご興味のある方は、以下をお読みください。マンツーマンレッスンですので、ご希望に合わせて、RAW現像前提の写真撮影方法や、ライトルームの特定機能を深掘りしてお教えすることも可能です。レッスンお申し込みの際に、ご依頼ください。
     
     

    レッスン受講をご希望の方はこちらをお読みください

     
    「① 新橋駅から徒歩1分の会場」と、「②JR川崎駅から徒歩3分の会場」で開催しています。
    ③東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県にお住いの場合は出張レッスンも承ります。

    「ストアカ」というプラットフォームを介しての開催となります。まずは以下のボタンを押してストアカに登録をお願いします。


    ストアカで使える500円クーポンをゲット

    (ストアカの登録は無料です)

     
    ① 新橋駅から徒歩1分の会場での受講をご希望の方は以下の「日程詳細へ」ボタンをクリックして、レッスンの詳細を確認し、お申し込みください。

     

    ② 川崎駅から徒歩3分の会場での受講をご希望の方は以下の「日程詳細へ」ボタンをクリックして、レッスンの詳細を確認し、お申し込みください。

     
    ③ 出張レッスンをご希望の場合は、以下のボタンを押してご相談ください。
     

     

    ご都合が合わない場合は?

     
    受講をご希望の日時に講座の開催予定がない場合は、以下のボタンを押してご相談ください。なるべくご希望に合う時間帯の開催を検討させていただきますので。

     

     
     

    レッスン時間延長に関して

     
    レッスン時間の延長をご希望の方は前以てお問い合わせください。スケジュールに空きがある場合は、1時間4,000円(税込)で延長受講していただけます。
     

     
     
    それでは、お申し込み・お問い合わせをお待ちしております。

    ミヤビプロダクション
    マサ・オニカタ

    モバイルバージョンを終了