ライトルーム:写真選別の基準と順番

写真選別の基準-Main
ライトルームの現像機能に魅力を感じて導入する方がとても多いですが、実は、ライトルームの真骨頂は「写真管理機能」だったりします。以下の記事で、その写真管理機能の秀逸さに関して解説していますので、まだお読みでない方は、是非ご一読ください。

 

写真管理とは

 

  1. 「選別機能」、つまり、一度の撮影で撮った数多くの写真の中からベストショットを見つけ出す機能。「選別」以外に、「セレクト」、「絞り込み」、「取捨選択」、と言ったりします。

    そして

  2. 「検索機能」、例えば、「2013年の11月に鎌倉の円覚寺で撮った紅葉の写真で、星が2つ以上付いているもの」、などという条件を指定して、写真をあっという間に探し出す機能

に分けられます。

特に、1.の選別機能はとても優秀で、私自身、ライトルームを使うようになり、作業時間が3分の1ぐらいに短縮されたばかりか、精度の高い写真比較ができるので、より確実に、ベストショットを選び出すことができるようになったと思っています。

さて、今回の記事は「選別の基準」に関してです。「写真のどこを比較して優劣を決めれば良いのか?」という話ですね。




 
まずは、基本的なところから。

一般的に「良い写真」と言われるものは以下の3点を満たしている、と言われています。
露出-ピント-構図

つまり、この3点を満たしている写真は、優先して選択すべき、ということですね。
 
 
それでは、それぞれについて解説していきます。
 

露出

いわゆる「明るさ」です。少し細かい話をすると、露出には「標準露出」と「適正露出」というのがあります。
「標準露出」というのは、「白とび」や「黒つぶれ」をおこしていない明るさ、ということです。カメラの露出レベル表示が真ん中を指している状態と言ってもいいでしょう。

露出レベル補正

ヒストグラムで言うと、グラフが左の軸にも、右の軸にも触れていない状態、ということになりますね。

ヒストグラム
 
一方で「適正露出」というのは、「撮影者の意図した露出」ということです。ポートレート写真で敢えて明るく撮ったり、逆に風景写真などで、意図的に暗くして撮ったり、という撮り方で、それが、白とびや黒つぶれしていても撮影者の意図に沿っていれば、OKという考え方です。

白とび-ポートレート

(適正露出:敢えてオーバーに)

 
黒つぶれ-風景

(適正露出:敢えてアンダーに)



 

そして、写真の選別を行う際、「標準露出」か「適正露出」か、という点に関しては、「自分で判断すればよい」のです。例えば写真を始めて日が浅い初心者の方は、まずは「標準露出」を意識すれば良いでしょうし、逆に写真歴も長く、写真の芸術性を追求している方の場合は「適正露出」を優先すれば良いでしょう。

広義にとらえると、「露出」には、「色」も含まれます。美しい夕焼けを撮影する際、露出を上げすぎると色が淡くなってしまいますね。この場合、「空に夕焼けのオレンジ色が綺麗に載っている露出」を実現すると良い、ということになります。

露出-色
 

ピント

これは、写真の、「意図した部分」にピントが合っていることを指す、とお考えください。例えば、風景写真で、手前の被写体から奥の被写体までピントを合わせたい(パンフォーカスにしたい)と考えるケースもあるでしょうし、花の写真で背景をぼかしたい、ということもありますね。自分が表現したいように、ピントが合わせられているか、を確認しましょう。

ピント-深い被写界深度

(パンフォーカス)

 
ピント-浅い被写界深度

(手前のクロッカスにピント)

 




 

構図

構図に関しては、明確に「こうあるべき」とお伝えすることができません。もちろん、「S字」、「額縁」、「トンネル」、「三分割」、「対角線」など、構図に関する色々なキーワードはあります。ただ、一概に「S字だから良い」というわけでもありません。ましてや、「同じS字構図でも写真Aと、写真Bではどっちが良い?」となった場合、色々な要素を比較する必要が出てきますので、更に難しいですね。2つの写真で、僅かな差異しかない場合、初心者の方の場合はとりあえず、どちらが「しっくりくるか」という観点で直感的に選んでしまっても良いと思います。

どういう構図が良いのか、に関しては市販の書籍などを読んでいただきたいと思いますが、「自分はいつまでたっても構図が上達しない」と悩んでいる方は、是非、こちらの記事もご一読ください。「普段、こういう行動をとると、構図がうまくなる」という「心得」のような事に関して解説しています。

 
以上が写真の3大要素ですが、写真を選別する際に、もう一つ、しっかり確認すべき点があります。それは「ノイズの量」です。
 

ノイズレベル

多くの方がご存知かと思いますが、ISO感度を上げて撮影すると写真にノイズが載ります。例えば、
A.
・シャッター速度1/30 秒
・絞りf/8.0
・ISO感度 1600
 
で撮影した写真と、

B.
・シャッター速度0.5秒
・絞りf/8.0
・ISO感度100
 
で撮影した写真は、同じ露出となりますが、A.の方がISO感度が高い分だけ、写真にノイズが載ります。動いている被写体を撮影する場合、「流して撮りたい」のか「止めて撮りたいのか」、によってシャッター速度を変えるべきですので、一概に言えないのですが、静止している被写体の場合は、シャッター速度の速い・遅いは関係ありませんので、低いISO感度で撮影したB.の方が良い写真、ということになります。

ノイズレベル比較




 
最後に、

選別の順番

に関して少しだけ触れておきますね。
ライトルームはとても素早く選別ができるよう設計されているのですが、効率よく作業を行うため、まずは、各写真を全体表示(ルーペ表示で画面の中央に写真が1枚だけ表示されているモード)にし、露出と構図を見ながら最初の選別を行ってみてください。右向きの矢印キーを押しながら画像を進め、良いと思う写真には「A」キーを押して「採用フラグ」を付けていきます。逆に露出や構図が明らかにNGの場合は「X」キーを押して「除外フラグ」を付けます。露出と構図は写真を拡大表示せずに確認することが可能なため、素早く優劣の判断ができるのです。これが第一次選考になります。(ポートレートでモデルさんが目をつぶっている写真や、大きくブレている写真などもこの段階で除外フラグを付けます。)
 
これを何度か繰り返して行い、写真が絞り込めたら、画面を拡大表示にし、ピントやノイズレベルの確認をするのです。この時、2枚を隣り合わせに並べて確認することができる「比較表示」が便利です。2枚の写真を選択し、「C」キーを押してから、拡大表示したいポイントをクリックすれば良いのです。

このように、最初は画面を全体表示にして素早く「露出」と「構図」を確認。その後、拡大表示にし、慎重に「ピント」と「ノイズレベル」を確認する、という手順にすれば、選別作業のスピードがとても速くなりますよ。

是非、試してみてくださいね。